痛みの『医療化』

こんばんわ!痛みのミカタ講師の玉田です。今日は痛みの『医療化』をテーマに少しお話します。

医療化

医療化(medicalization)とは・・・
医療化とは、宗教、司法、教育、家庭などの社会生活のなかで起こっているとされてきたさまざまな現象が、次第に医療の対象とされるようになっていくことをいいます。

慢性疼痛でお困りの方が減少しない理由
それは・・・誤解を恐れずに言えば、「痛みを治療している」から。
一生懸命真面目に治療されている先生が聞いたら怒られそうですね(笑)
でも僕たちの治療院に来られるような慢性的な痛みでお困りの多くの方に関していえば、治療したら痛みが長引く可能性もあるんです。

もしかしたら僕が認知している「慢性疼痛」とこれを読んで頂いている先生が認知している「慢性疼痛」とでは違いがあるかもしれませんが、慢性疼痛は単に急性痛が長引いている痛み、断続的に続いている痛みだけでなく、脳内の痛み関連領域において、まったく異なる領域が活性化していることもあります。

違い

組織の損傷がはっきりしている急性痛に関しては、必要に応じてその痛みに対する治療も必要でしょう。しかし損傷がない慢性疼痛に関しては来院者が訴えるその痛みを治療すること、それこそが『痛みの医療化』と言われるものです。

多くの場合、慢性疼痛に必要なことは「治療」ではなく、「痛みの再概念化」「不安から安心」「将来の明るいゴール設定」です。
これ、臨床の現場で意識すると、施術者も来院者も「痛み」にフォーカスしづらくなるのでなんで治らないの!!治さなくては!!というストレスもなくなり、穏やかに施術することができますよ。

こういった話は慢性疼痛についての『共通認識』がないと理解してもらえないかもしれませんので今後もこのブログでは【痛みの多面性】について考えていきたいと思います。

今回のテーマをまとめると、来院者が訴える慢性的な痛みを治療して痛みを医療化してしまうと、その方にとってはデメリットになることがあるということ。痛みを取るのではなく、その方が認知している「痛み」というものの概念を変えてあげることが必要です。

教育

Rachelle Buchbingerは『私たちは腰痛を医療化する傾向にあります。ほとんどの腰痛は医療としてケアする必要はありません。私たちの仕事は患者が腰痛を経験した際は、活動的に動き続けることであるとアドバイス・教育することである』と言っています。

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