ぜ、いま「痛み」について学ぶ必要があるのでしょうか?

性痛でお困りの方が年々増加しているのをご存知ですか?

慢性痛

NHKみんなの健康

「日本における慢性疼痛保有者の実態調査」(臨床整形外科 47巻2号 )の報告によれば、慢性痛の有病率は成人人口の22.5%と推定され、2315万人が慢性痛に悩まされているそうです。

画像の説明

また厚生労働省「国民生活基礎調査」の【性別にみた自覚症状ベスト5】ではH10年とH28年を比べてみても第1位「腰痛」、第2位「肩こり」と変わりなく、患者数も年々増加傾向にあります。

腰痛数

国民生活基礎調査(平成10年)国民生活基礎調査(平成28年) 

ぜ慢性疼痛患者が減らないのでしょうか?

MRI

20年間、科学の進歩が全くなかったのでしょうか?例えば、携帯電話も20年前はガラケーで画面も小さく白黒でしたが、20年経った現在はスマホでインターネットが出来たり、動画だって観れるわけです。びっくりするほどの進歩です。

医療機関でも画像撮影の技術も高くなり、よりきれいに詳細に構造異常を見つけられるようになりましたし、ヘルニアなどの手術も開腹せずに数センチの切り口で負担なく手術が受けられるようになりました。

手術

治療業界も今やコンビニよりも治療院の数が増えて、多くの腰痛患者を治療しています。また毎年さまざまな施術テクニックが開発され、多くのカリスマと呼ばれるゴッドハンドが生まれ、私も含め多くの先生方が日々腰痛を治そうと懸命に腰痛患者さんと向き合っているのではないでしょうか?

しかしこのような国民調査のデータを見ると一向に横ばいで慢性痛でお困りの方々が減っていないのが現状なのです。この国民生活基礎調査は1987年から始まっているので実質30年以上も腰痛患者が減っていないことになります。

ではなぜ慢性痛患者は減らないのでしょうか?

それは・・・

『痛みを治療する』だけでは慢性痛患者は減少しないということです。

これまでにさんざん痛みを取る治療をしてきたわけです。しかし減るどころか増加している状況なのです。

治療

では、慢性痛患者を減らすにはどうしたらいいのでしょうか?それが痛みのミカタのコンセプトでもありますが、それは「痛みを理解する」ことなのです。つまり、『痛みを知る』ということなのです。

理解

治療

外では効果実証済みの慢性痛をなくす方法

腰痛に負けるな!!

「理学療法ハンドブック」

この【痛みを理解すること】で腰痛患者が減る(医療費が削減)という事は海外では効果実証済みで、例えばオーストラリアでは痛みについて「正しい前向きな情報」をマスメディアを使って広めたところ、患者数が大幅に減少し医療費が33億円も削減できたということです。

Buchbinder R et al., Population-based intervention to change back pain beliefs and disability: Three part evaluation, BMJ, 2001

どんなメディアキャンペーンかと言いますと、「時代遅れの痛みの考え方」から「エビデンスに基づいた新しい痛みの考え方」に変えましょう!!とマスメディア(TV・ラジオ・広告・小冊子)を使って一般市民・医療関係者に対して1年半の啓蒙活動を行いました。

告知

具体的なキャンペーンの内容は『安静にはせず動ける範囲内で動く事』『仕事を休まないこと』『腰痛を医療の対象にしないこと』『不必要な検査は行わないこと』などを伝えました。

またこのような「痛みに対する考え方」を変えることで、カナダ・イギリス・ノルウェーでも同様の成果を残しました。

々の仕事は「教育」することであるーRachelle Buchbinger

教育

先ほどのオーストラリアの取り組みの結果をデータにまとめた研究者の1人であるRachelle Buchbingerは『私たちは腰痛を医療化する傾向にあります。ほとんどの腰痛は医療としてケアする必要はありません。私たちの仕事は患者が腰痛を経験した際は、活動的に動き続けることであるとアドバイス・教育することである』と言っています。

つまり、「痛いうちは安静にしておく」という【従来の古い痛みの考え方】から【新しい痛みの考え方】に変えていこう!!ということなのです。

Old Mindset=古い痛みの信念

古い信念

Twitter-Peter O´Sullivan

従来の古い痛みの考え方とはどんな考え方かと言いますと

『痛み=身体の損傷である』
『腰痛は休息が必要である』
『腰を曲げることは危険である』
『運動は腰にとって危険である』
『活動的なことは安全ではない』

腰痛

こういった【古い痛みの考え方・信念】が腰痛の回復を遅らせ、慢性化につながります。

臨床では患者さんのこういった誤った信念を新しい考え方・信念に変えていく必要があります。

New Mindset=新しい痛みの信念

新しい信念

Twitter-Peter O´Sullivan

では新しい考え方とは何かと言うと

『痛み=身体の中に損傷があるとは限らない』
『腰を曲げることは安全である』
『運動は腰を強く健康にする』
『活動的なことはいいことである』

元気

こういった新しいマインドセットに変えていく事が【痛み教育】の1つとなるのです。

時代遅れ

『痛み教育』は最も効果的な治療法である

痛み学

痛みの説明は世界で最も効果的で安価な治療法の1つになりました』-ロリマー・モーズリー

ロリマー

痛みに繋がるような古い痛みの考え方から、新しい痛みの考え方を教育することがとても【有効な治療法】であるということです。

痛み教育のことをTNE(もしくはPNE)と言われていますが、痛み教育を行うことでどのような効果があるかと言いますと・・

効果

こういった効果があるわけです。

教育

外で活躍されている痛み学の教育者たち

教育者

海外には痛み教育をされている先生方がおられます。比較的日本でも情報を得やすい先生をご紹介しますと、南オーストラリア大学教授のロリマー・モーズリー、キネティコス教育団体講師のベン・コーマック、オーストラリアのカーティン大学教授のピーター・オサリバンなどがおられます。

海外ではこういった痛みの専門家たちが活躍されています。海外の慢性疼痛治療の流れはまさに『痛み教育』なのです!!

本では『痛みのミカタ』が痛みの概念を変えます!!


朝倉

玉田

早坂

日本においてはいまだに、例えば『10秒揺らすだけでどんな痛みも解消するテクニック』だったり、『あるポイントを押すだけでたちまち慢性痛が改善』など手技テクニックなどのセミナー・勉強会は数多くありますが、痛みについて学ぶ『痛み学』に特化したセミナーはほとんどありません。

痛みのミカタ講座は2018年2月から現在までに東京・大阪・名古屋にて15回以上開催させて頂きました。ご参加された方々の業種も多様でカイロプラクター・柔道整復師・鍼灸師・薬剤師・理学療法士・トレーナー・漢方相談員・整体師・美容整体師・セラピスト・リフレクソロジスト・フードセラピスト・一般の方などがご参加されております。

痛みのミカタ講座

のページの内容を音声動画で説明(16:35)



2019年7月28日に行われた「痛みのミカタ的患者教育講座」の事前学習として作成した音声動画ですが、いまお話してきた内容と同様なのでアップしておきます。16分とちょっと長い動画ですので、復習がてら時間のある時にお聞きください。

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